2023年04月25日
先日、4月9日(日)と16日(日)に開催された競馬の桜花賞と皐月賞のお話。どちらも人気を背負った馬が同じようなスタイルで勝った内容でしたが、それぞれの馬に騎乗していた騎手の様子が対照的でした。
皐月賞で勝ったソールオリエンスに騎乗したデビュー7年目の横山武史騎手は祖父の代から3代続けて日本中央競馬会の騎手をしている家族の次男(お兄さんも騎手)で若手で一番期待されている存在です。その横山武史騎手がゴール後に見せた派手なガッツポーズ、喜びの雄たけびは見ているすべての人に喜びが分かるものでした。
一方で、桜花賞に勝ったリバティアイランドに騎乗した今年20年目になる川田将雅騎手は派手なパフォーマンスは一切なく喜びの感情表現はありませんでした。川田騎手は曽祖父の代から地方競馬の佐賀競馬で騎手や調教師の家系の言わば競馬会においては非エリートの出身です。
川田騎手が何故ガッツポーズや派手なパフォーマンスをしないかというと競馬学校時代に講師で来られた現役騎手の話に共感したからだそうです。講師でこられた騎手の方も派手なパフォーマンスなどはしないことで有名でしたが、川田騎手が何故しないのかを質問した際に「人は馬から降りれば、いくらでも喜ぶことができる。だから、わざわざ馬の上で喜ぶ必要はない」と言われたそうです。
それが心に染み入るように入ってきたとのことですが、そんな川田騎手も初めて大きなレースを勝った際には小さなガッツポーズをしていました。しかし、その後に騎乗した馬が骨折していたことが分かり勝利して浮かれていた自分に反省したそうです。その後、彼の派手なパフォーマンスを見ることはありません。
色々なスポーツでも派手なパフォーマンスで自分や周りを盛り上げ、楽しませる選手もいる中で、喜びの感情を表さずに淡々と自分がやるべき事を実行していく職人のような選手もいます。見ている側もどちらがいいという好みはあるでしょうが、私の好みは派手さはないが職人気質のタイプなのかなと改めて感じた出来事でした。
田中 龍一